最初は保険の入れ歯でもいいですか?|補綴歯科専門医黒崎俊一が回答

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Q:最初は保険の入れ歯でもいいのでしょうか?

入れ歯を作ることになりましたが、費用のことも考えると、まずは保険の入れ歯で始めてもよいのでしょうか。あとから自費の入れ歯に作り替えることもできるのか、保険の入れ歯を選ぶときに気をつけることはあるのか、知りたいです。
A:最初は保険の入れ歯でもよろしいかと思います。ただし「何ができて、何が難しいか」を知ったうえで選んでください
私は、最初の入れ歯を保険で作ること自体は、決して間違った選択ではないと考えています。 保険の入れ歯は、失った歯の機能を補うために、国の制度の中で認められた材料や方法で作られます。 費用を抑えられるだけでなく、お口の状態によっては、保険の入れ歯で食事や会話がしやすくなる方もいらっしゃいます。 大切なのは、保険か自費かという「種類」だけで決めるのではなく、今のお口の状態に対して、その入れ歯に何が期待できて、何が難しいのかを知ったうえで選ぶことです。

保険の入れ歯から始めやすいのは、どんなときか

例えば、次のような場合は、保険の入れ歯から始めることを現実的な選択肢として考えられます。
  • 残っている歯の状態が安定していて、失った歯の本数が少ない
  • まずは食事ができる状態を、早く取り戻したい
  • 入れ歯が初めてで、使ってみてから今後のことを考えたい
  • インプラントなど別の治療を検討していて、それまでの間に使う入れ歯が必要
  • 費用の面から、まずは保険で始めたい
こうした場合には、保険の入れ歯で使い心地を確かめながら、必要に応じて次の方法を考えるという進め方もあります。

保険の入れ歯には、制度上の限界もあります

保険の入れ歯は、使用できる材料や設計に一定の決まりがあります。 そのため、次のような点が気になる場合があります。
  • 部分入れ歯では、歯にかける金属のバネが、見えやすい位置になることがある
  • 入れ歯の土台となる部分(床)がプラスチック(レジン)のため、強度を保つ上である程度の厚みが必要になり、違和感を覚える方がいる
  • 選べる材料や設計の幅が限られる
これらは、必ず起こるという意味ではありません。お口の状態や設計によって、感じ方には個人差があります。 一方で、自費の入れ歯にすれば、これらの問題が必ず解決するというわけでもありません。 どこまでを保険でカバーでき、どこからが難しいのかは、お口の状態によって変わります。
人工歯を口に入れるわけですから、違和感は生まれます。これは入れ歯自体の問題だけでなく、その方の口腔内の過敏さが大きく影響します。

最初が保険でも、あとから作り直せますか

「まず保険で作ってみて、合わなければ自費で作り直す」という進め方も、選択肢の一つです。 ただし、作り直しには、あらためて費用がかかります。また、保険の入れ歯は、作ってから短期間で新しく作り直すことに制限がある場合もあります。 そして、最初の入れ歯が合わないまま使い続けると、入れ歯そのものに苦手意識を持ち、使わなくなってしまう方もいらっしゃいます。 そのため、保険か自費かを決める前に、「今のお口の状態で、保険の入れ歯にどこまで期待できるか」を歯科医師に確認しておくことが大切です。
保険の入れ歯から自費の入れ歯へ変更する場合、基本的には現在の入れ歯を作り直すのではなく、新しい入れ歯を作ることになります。
ただし、保険の入れ歯を使用したことで「どこに違和感があるのか」「何を改善したいのか」が分かっていれば、自費の入れ歯を作る段階で、ご希望に合わせた設計を検討しやすくなるという利点もあります。

保険で作るときこそ、確認してほしいこと

保険の入れ歯であっても、診断、型取り、かみ合わせの確認、完成後の調整などの進め方は、歯科医院によって異なる場合があります。 保険で作る場合でも、次のような点を確認してみてください。
  • お口全体を診たうえで、なぜこの入れ歯が必要なのかを説明してくれるか
  • 保険の入れ歯でできること、難しいことを説明してくれるか
  • 自費の選択肢について、良い点だけでなく、限界も含めて説明してくれるか
  • 入れ歯が完成した後の調整にも、継続して対応してくれるか
保険の入れ歯は、基本的に保険診療を行う歯科医院で作ることができますが、入れ歯の診断や設計、調整などには歯科医師による違いがあると私は考えています。

補綴歯科専門医・黒崎俊一の回答

最初の入れ歯を保険で作るかどうか迷ったとき、私は「保険か自費か」ではなく、「今のお口の状態で、その入れ歯に何が期待できて、何が難しいのか」を基準にしていただきたいと思います。 保険の入れ歯から始めることは、多くの場合、無理のない選択肢です。 そのうえで、次の3点を確認してください。
  • 保険の入れ歯でどこまで期待できるのか
  • どこに限界があるのか
  • 自費の入れ歯にすると、何が変わる可能性があるのか
この3点について説明を受け、納得したうえで選んでください。

納得して選んだ入れ歯であれば、最初が保険であっても、それは良い選び方だと私は考えます。

回答した歯科医師

くろさき歯科 院長 黒崎俊一

黒崎 俊一

医療法人社団アーユス 理事長 くろさき歯科 院長

資格 日本歯科専門医機構 補綴歯科専門医 日本補綴歯科学会 専門医

黒崎俊一院長の詳しいプロフィールはこちら

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