入れ歯の料金と種類


目次

保険適用と保険適用外の
入れ歯の違いとは

入れ歯の画像

保険適用の入れ歯と保険適用外の入れ歯の違いは、「見た目の美しさ」「装着感」「費用」の3つです。

保険適用の入れ歯は国の取り決めにより、入れ歯を作るための作業工程と入れ歯に使える素材や形が指定されています。
そのため、どんなに腕のいい歯科医師と歯科技工士が精密かつ丁寧に入れ歯を作成しても、装着したときの見た目の美しさや装着感の良さには限界があります。

一方、保険適用外の入れ歯は、作業工程と入れ歯に使う素材や形に制限がないので、装着感を良くするための工夫が可能です。
さらに、健康な歯茎や歯に近い風合いを出すための加工を施して、保険適用の入れ歯よりも自然で見た目の美しい入れ歯を作成できます。

料金面では保険適用の入れ歯が経済的ですが、見た目の美しさと装着感は保険適用外の入れ歯には敵わないでしょう。

保険適用と保険適用外の特徴

保険適用の入れ歯の特徴

保険適用の総入れ歯は、歯茎の部分に「アクリルレジン」歯の部分に「レジン」というプラスチックが使われています。
部分入れ歯の場合は、これに金属製のバネが付きます。

入れ歯のプラスチックが割れないためのには、厚みが必要となりますが、患者さんによっては装着時の違和感が強く、金属製のバネが付いている場合は、口を開けたときに目立つのが難点です。

しかし、保険適用の入れ歯は0.5万円〜1.5万円ほどで作成できる(※)ため、保険適用外の入れ歯と比べて短期的に考えると経済的です。
作り直す際の経済的なハードルが低いことは、保険適用の入れ歯の大きなメリットです。

※3割負担の場合。保険の負担割合によって料金は変わります。

保険適用外の入れ歯の特徴

保険適用外の入れ歯は、「金属」「レジン」「シリコン」「マグネット」などの素材が使われます。
歯茎の代わりになる部分を薄く・小さくしても噛むのに十分な強度を確保できる素材なので、入れ歯を装着したときの違和感を少なくできます。

見た目に影響を与えやすい金属のバネは、なるべく見えない設計にしたり、白いバネにしたりすることで、入れ歯だと分かりにくくすることが可能です。
入れ歯の種類によっては、バネをゼロにすることもできますので、ご希望をお聞かせください。

料金は、最低15万円くらいからが相場です。
保険適用外の入れ歯には、破損したときに容易に修理できるものとできないものがあります。
そのため、種類によっては修理に高額な料金がかかってしまうことが唯一のデメリットといえるでしょう。

総入れ歯と部分入れ歯

総入れ歯

総入れ歯とは、上顎または下顎のすべての歯冠を失った場合に使用する入れ歯です。
上顎または下顎の歯茎を全面的に覆うような形をしており、歯茎の色をした「ピンク色の床(しょう)」と呼ばれる部分に、人工の歯が埋め込まれています。

「食事を食べるための噛む機能」「喋るための発音機能を回復させること」を目的として使用します。
また、歯がなくなると歯茎やアゴの骨が痩せてしまい、口周りが萎んで老けて見えることがありますが、総入れ歯を着けることで口元がふっくらとして若々しく見えます。

残っている歯がないため、新しい入れ歯で前歯の位置が以前と変わって「口元が出すぎた気がする」「口元が引っこみすぎる」などの状態になる方もいます。

部分入れ歯

1本〜複数本に渡って歯を失った場合に使用する、取り外し式の入れ歯です。
残っている歯にバネやアタッチメントを引っ掛けて、入れ歯を固定します。

ブリッジやインプラントのように、「健康な歯を大きく削る処置」「手術を避けたい方」におすすめな歯の修復方法です。

当院では、総入れ歯・部分入れ歯共に、保険外治療の場合、最終的な入れ歯にする前に仮の入れ歯を使用していただく期間を設けて、使い心地を確かめて、違和感を最小限にするよう努めております。
患者さんが入れ歯の何を不快に思うかに応じて、構造や素材の違う入れ歯を複数ご提案できますので、ご相談ください。

入れ歯の種類

レジン床義歯

総入れ歯/部分入れ歯

プラスチックでできた、保険適用の入れ歯です。
プラスチックは割れやすいため、噛んだときに割れない強度にするために、入れ歯に厚みがあります。
また、食べ物の温度を伝えにくいため、食事の味や温度感が伝わりにくいのが難点です。

審美的には、歯の形や色のバリエーションが少ないので、装着したときに入れ歯っぽさが出てしまう可能性があります。
より天然歯に近い風合いの入れ歯にしたい方には、あまり向いていないでしょう。

料金が安いという、メリットもあります。

▼料金相場
約0.5万円~1.5万円
(保険適用3割負担の場合)

マグネット義歯

総入れ歯/部分入れ歯
レジン床義歯にマグネットを組み入れ、残っている歯の根の先に取り付けたマグネットに付けて固定する入れ歯です。
保険適用のものもあります。

マグネットの力で入れ歯が安定するので、入れ歯が落ちてきたり浮いたりすることが少なく、食べ物が噛みやすい特徴があります。

欠点は、1本以上、歯の根が残っていないと適用できないことです。

▼料金相場
約1万円~4万円
(保険適用3割負担の場合)

BPSデンチャー

総入れ歯/部分入れ歯
BPSデンチャーとは、Biofunctional Prosthetic System(生体機能的補綴システム)を用いて作る入れ歯です。

従来の入れ歯の「痛い」「噛めない」「作り物っぽい」という欠点をカバーし、「痛くない」「フィットして噛みやすい」「本物に近い歯茎と歯の風合い」を実現できます。

BPS認定の歯科技工士が専用の器具や器材を使用して作るため、保険適用にはなりません

▼料金相場
約25万円~
(税込・保険適用外)

シリコン・コンフォート義歯

総入れ歯/部分入れ歯
入れ歯と歯茎が接する部分を柔らかい生体用シリコンでコーティングした入れ歯です。

生体用シリコンは、柔らかくて粘膜に馴染みやすいので、入れ歯で噛んだときの痛みがほとんどありません。
また、高い吸着性を発揮するので、入れ歯の安定感もアップします。

▼料金相場
約20万円~40万円
(税込・保険適用外)

ミラクルデンチャー

部分入れ歯
歯茎を覆う面積が小さくてコンパクトでありながら、ズレにくいため、付け心地が良い入れ歯です。
入れ歯を固定できる歯が1本以上あれば使用できます。

食事のときに食べ物がお口の粘膜に当たる面積が大きいので、食べ物の温度や味をしっかりと感じられます
また、歯に入れ歯を固定するための金具を歯の裏側に設置できるので、装着したときの見た目も自然です。

▼料金相場
約30万円~120万円
(税込・保険適用外)

アタッチメント義歯

総入れ歯
アタッチメントと呼ばれるフックや磁石、レールを歯に着けて入れ歯を固定するので、安定して食べ物を噛める入れ歯です。
残っている歯の状態によって、使用するアタッチメントは変わります。

歯に入れ歯を固定するためのバネがないため、装着したときの見た目がきれいです。
歯茎を覆う面積も小さいので、違和感の少ない装着感を実感できるでしょう。

▼料金相場
約30万円~70万円
(税込・保険適用外)

MTコネクター(MTデンチャー)

部分入れ歯
(左:普通の入れ歯 右;MTコネクター)
歯茎に沿わせるように、歯の裏側に極薄の金属を這わせて固定する入れ歯です。
口を開けても金属が見えにくく、自然な仕上がりと快適な付け心地を実現できます。

金属は「ウィロニウム」という、薄さ0.35mm、金属アレルギーが起こりにくい特別な素材を使用しています。

部分入れ歯に使用されることが多いですが、お口の状態によっては総入れ歯としても使用できます。

▼料金相場
約20万円~50万円
(税込・保険適用外)

コンフォート(ソケット)総入れ歯/部分入れ歯

総入れ歯/部分入れ歯
歯を失ってしまったときに見た目と機能をいち早く補いたい方、インプラントやブリッジを含め、治療方法が決まるまでの仮の歯が欲しい方におすすめです。

お口の粘膜とほぼ同じ柔らかさのシリコンでできているので、噛んだときの歯茎の痛みが少なく、金属のバネがないので見た目にも優れています

▼料金相場
約18万円~50万円
(税込・保険適用外)

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーとは、金属のバネ(クラスプ)がない入れ歯です。バネの代わりに、弾力性と強度の高い素材を使用することで、美しくて違和感の少ない入れ歯にすることができます。

通常の部分入れ歯は、歯に金属のバネがかかっているのが目立ちます
場合によっては、バネによる歯の締め付け感が辛いと感じる方もいて部分入れ歯の悩みの種です。

当院では、このようなお悩みをお持ちの方にピッタリなノンクラスプデンチャーを複数ご用意しています。

ミラクルデンチャー

部分入れ歯
最小限の面積で入れ歯を固定できるため、しっかり噛めるのに見た目が良くて付け心地が良いのが特徴です。

▼料金相場
約15万円~120万円
(税込・保険適用外)

スマイルデンチャー

部分入れ歯
銀色のバネを使用しないため、入れ歯をしていることが分かりにくく、見た目の良い入れ歯です。
薄くて割れにくいのが特徴です。

▼料金相場
約10万円~50万円
(全て税込・保険適用外)

バルプラスト

部分入れ歯
やわらかなスーパーポリアミドの床が、お口の動きによくフィットする部分入れ歯です。
あとから歯を増やせるので、新たに歯を失っても修理で対応できることが多いです。

▼料金相場
約10万円~50万円
(全て税込・保険適用外)

ナチュラルデンチャー

部分入れ歯
噛んだときに適度に沈み込む弾力性があるため、歯茎へのあたりが柔らかい部分入れ歯です。
しなりもあるので、入れ歯に厚みを持たせても会話や食事のときに舌の動きを邪魔しにくいのが特徴です。

▼料金相場
約10万円~50万円
(税込・保険適用外)

金属床義歯

総入れ歯/部分入れ歯
歯茎を覆う床の部分が主に金属でできた入れ歯です。
金属は歯の裏側に使うため、口をあけたときに見える心配はほとんどありません
コバルトやゴールド、チタンなど、複数の金属床があります。

金属床義歯の最大のメリットは、「薄くて丈夫であること」「食べ物や飲み物の温度を感じやすいこと」です。

金属は温度が伝わりやすいため、スープや冷たい飲み物を飲んだときの感覚を最大限に残せます。
また、プラスチックの入れ歯よりも薄いので、装着時の違和感を減らすことできます。

▼料金相場
約15万円~150万円
(税込・保険適用外)

ゴールドの金属床義歯

ゴールドは、金属床義歯で長く使われてきた歴史のある素材です。
身体に優しく、口に入れても金属の味がしにくいのが特徴です。
ほかの金属と比べて重さがあるので、入れ歯もやや重くなるのが難点です。

▼料金相場
約35万円~150万円
(税込・保険適用外)

チタンの金属床義歯

インプラントや人工関節など、医療現場で幅広く使われる金属です。
身体に馴染みやすいため、金属アレルギーの心配が少ないのが特徴です。
また、軽くて舐めても金属の味がしにくいので、快適です。

▼料金相場
約30万円~60万円
(税込・保険適用外)

コバルトクロムの金属床義歯

金属床の中では、一番長く使われている素材です。
ゴールドにはやや劣りますが、熱を伝えやすいので、自然に近い形で食事を楽しめます。
チタンと比べると、わずかに金属アレルギーを起こしやすいのが難点です。

▼料金相場
約25万円~45万円
(税込・保険適用外)

白金加金の金属床義歯

白金も金属床に長く使われている、身体に優しい金属です。
口に入れても金属の味がしにくいので、食事の味をそのまま感じられます
細かい加工がしやすいので、お口にフィットする入れ歯を作りやすいです。

▼料金相場
約40万円~200万円
(税込・保険適用外)

オーバーデンチャー

総入れ歯
残っている歯に固定源となるマグネットやボール、バーなどのアタッチメントを取り付けて、上から入れ歯を被せるように装着します。
歯茎や残っている歯だけで固定する入れ歯よりも、歯茎を覆う部分が小さくてよく噛める入れ歯にできます。

入れ歯の修理もしやすく、バネのないシンプルな構造なので、お手入れが楽です。

▼料金相場
約0.5万円~1.5万円
(税込・保険適用3割負担の場合)
※アタッチメントの種類や歯の状態によっては、保険適用外となります。

ボールアバットメントオーバーデンチャー

部分入れ歯
残っている歯やインプラントの先端にボール上の突起を付けて、入れ歯をはめ込みます。
バネなしで歯にしっかりと入れ歯を固定できて、残っている歯への負担も少ないのが特徴です。

▼料金相場
約40万円~80万円
(税込・保険適用外)

コーヌス・テレスコープ義歯

部分入れ歯
残っている歯の上に円筒形の土台を作り、入れ歯に内側の円筒に合う茶筒の蓋のような物を組み入れて固定する部分入れ歯です。
金属のバネがまったくないので見た目が良く、床の部分も小さくできるので、装着時の違和感が少ないです。

また、残っている歯を360度囲うようにして入れ歯を固定するため、残っている歯への負担を防ぎます。

▼料金相場
約40万円~90万円
(全て税込・保険適用外)

リーゲルテレスコープ

部分入れ歯
入れ歯を歯に固定するためのロックが付いているテレスコープ義歯です。
ロックは見えないところに付けられており、入れ歯を洗う際は自分で自由に取りはずしできます。

▼料金相場
約40万円~100万円
(全て税込・保険適用外)

レジリエンツテレスコープ

部分入れ歯
歯と入れ歯の間にあえて隙間を作り、歯茎で入れ歯を支えることで、噛んだときにかかる歯への負担を抑える入れ歯です。

▼料金相場
約40万円~80万円
(全て税込・保険適用外)

磁石アタッチメント

部分入れ歯
磁石を入れ歯の内側と残っている歯の根の先端に磁石を付けて、磁力で入れ歯を固定するアタッチメントです。
保険適用のものと保険適用外のものがあります。

▼料金相場
約1万円~4万円
(税込・保険適用3割負担の場合)

O-リングアタッチメント義歯

部分入れ歯
残っている歯の根の先端に付けたフック型の突起に、入れ歯の裏側に付けたゴムを引っ掛けて固定するアタッチメントです。
磁石アタッチメントよりも入れ歯を固定する力がやや強いので、噛んだときの入れ歯の浮き上がりが少ないです。

▼料金相場
約30万円~60万円
(税込・保険適用外)

歯冠外アタッチメント義歯

部分入れ歯
残っている歯の外側に付けた突起に、入れ歯と歯の境目に付けたレールを引っ掛けて固定するアタッチメントです。
失った歯の本数が少ないケースに適用されることが多い入れ歯です。

▼料金相場
約35万円~75万円
(税込・保険適用外)

ロケーターアタッチメント

部分入れ歯
スナップボタンのように、残っている歯の根に入れ歯をはめて固定するアタッチメントです。

▼料金相場
約25万円~50万円
(税込・保険適用外)

歯冠内アタッチメント義歯

部分入れ歯
残っている歯の根の先端に付けた突起に、入れ歯の内側に付けたレールをかけて固定するアタッチメントです。

▼料金相場
約30万円~70万円
(税込・保険適用外)

よくある質問

他院で作成した入れ歯が痛くて合わないです。
作り直した方がいいですか?

入れ歯は、毎日の食事や会話を楽しむのにとても大切なものです。
お使いの入れ歯が痛いのであれば、原因をよくお調べしたうえで、調整またはお作り直しのご提案をいたします。

入れ歯の通院回数と作成期間はどのくらいですか?

虫歯・歯周病・噛み合わせの問題がない時には、全部で4〜5回ご来院いただきます。
作成期間は2~3ヶ月ほどです。
ただし、通院回数や作成期間は残っている歯の状態(虫歯や歯周病)や入れ歯の種類によって異なります。
当院では、歯を抜いた当日に入れ歯を作る流れで完成する入れ歯もございますので、まずはご相談ください。

入れ歯が合わなくなることはありますか?

入れ歯を使うと歯の部分はすりへります。
当院では、保険外の入れ歯は、すりへった歯の部分だけを、交換・修理することも行っています。

補綴専門医が最適な入れ歯を
ご提案します

くろさき歯科では、数十種類ある入れ歯から、あなたに合う入れ歯をご提案します。

当院では、入れ歯をお作りするにあたり、カウンセリングのためのお時間を1時間ほどいただき、しっかりと患者さんのご希望を伺います。
さらに、徹底したお口の検査を行い、本入れ歯の前には必ず仮の入れ歯を使用していただくことで細やかな調整を行います。

できるだけ長く使っていただける入れ歯を作るためには、患者さんが感じる「装着時の快適性」「見た目の美しさ」のバランスを取り、残っている歯への負担をコントロールすることが大切です。
細かく丁寧に一つひとつの工程を踏むことで、数ある入れ歯のバリエーションやパーツの組み合わせから、患者さんにとってベストかつ、作り直す必要のない入れ歯をご提案いたします。