入れ歯とインプラントの違いを徹底比較!選ぶ基準とは
入れ歯とインプラント、それぞれの特徴と違い
歯を失ってしまった時、どのような治療法を選ぶべきか悩まれる方は多いものです。特に「入れ歯」と「インプラント」は、失った歯の機能を回復する代表的な方法として知られています。
両者には明確な違いがあり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。患者さんの状態やライフスタイルによって、最適な選択肢は変わってくるのです。
私は日本大学歯学部卒業後、補綴専攻として大学院で学び、現在は「くろさき歯科」で多くの患者さんの歯の機能回復に携わっています。長年の臨床経験から、入れ歯とインプラントの違いについて詳しくご説明します。
手術の有無と治療方法の違い
入れ歯とインプラントの最も大きな違いは、手術が必要かどうかという点です。
インプラント治療では、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む外科手術が必要となります。この手術は局所麻酔で行われますが、患者さんの全身状態や骨の状態によっては、治療を受けられない場合もあります。特に歯周病や骨粗しょう症で顎骨が十分でない場合は、インプラントを固定できないケースがあるのです。
一方、入れ歯治療では外科手術は必要ありません。お口の型を取り、それに合わせて入れ歯を作製します。手術のリスクを避けたい方や、全身疾患をお持ちの方にも比較的安心して選んでいただける治療法です。
インプラント治療の場合、埋入手術後にインプラント体と顎骨が結合するまで3〜6ヶ月ほどの治癒期間が必要です。その後、人工歯を装着するための処置を行います。一方、入れ歯は約1〜2ヶ月程度で完成し、比較的短期間で使用を開始できます。
どちらが良いかは一概には言えません。手術に対する不安や、治療期間の長さ、全身状態など、様々な要素を考慮して選ぶことが大切です。
費用と保険適用の違い
治療費用も入れ歯とインプラントでは大きく異なります。
インプラント治療は基本的に保険適用外の自費診療となります。1本あたり約30万円~50万円が相場で、複数の歯を失っている場合はさらに高額になります。ただし、その分長期的な機能性や審美性に優れているという特徴があります。
入れ歯には保険適用のものと自費のものがあります。保険適用の入れ歯は3割負担の場合、部分入れ歯で約5,000円~2万円程度で作ることができます。自費の入れ歯は材質や作製方法によって様々ですが、保険の入れ歯よりも快適性や審美性に優れたものを選ぶことができます。
費用面では入れ歯の方が経済的負担は少なくて済みますが、長期的な使用感や機能性を考えると、インプラントの方がコストパフォーマンスが高いケースもあります。
保険適用の入れ歯と自費の入れ歯の違い
保険適用の入れ歯は、床(しょう)と呼ばれる歯茎部分にはレジン(プラスチック)が使用され、部分入れ歯のバネ部分には金属(コバルトクロム合金など)が使われます。比較的安価ですが、プラスチックの厚みにより違和感を感じたり、金属のバネが目立ったりすることがあります。
一方、自費の入れ歯では、金属床や柔らかい素材を使用したノンクラスプデンチャーなど、様々な種類があります。見た目や装着感に優れていますが、その分費用は高くなります。
くろさき歯科では、患者さんのライフスタイルや予算に合わせて、最適な入れ歯を提案しています。特に「高額なインプラント、その前に進化していく入れ歯という選択肢があります」という考え方で、最新の入れ歯技術を積極的に取り入れています。
使用感と機能性の違い
日常生活での使用感や機能性も、入れ歯とインプラントでは大きく異なります。
インプラントは顎の骨に固定されるため、自分の歯に近い感覚で食事や会話ができます。咀嚼力も天然歯の約80~90%程度と言われており、硬いものでもしっかり噛むことができます。また、見た目も自然で、他人に入れ歯と気づかれることはほとんどありません。
入れ歯は口腔内の粘膜や残存歯に支えられているため、噛む力は天然歯の約20~30%程度と言われています。食べ物によっては制限が必要な場合もあり、特に硬いものや粘着性のあるものは注意が必要です。また、装着感や違和感を感じる方も少なくありません。
入れ歯の種類による使用感の違い
入れ歯には総入れ歯と部分入れ歯があります。総入れ歯は歯がすべて無い場合に使用し、粘膜に吸着させて固定します。部分入れ歯は残存歯にクラスプと呼ばれるバネをかけて固定します。
部分入れ歯は残った歯に負担がかかることがあり、長期的には残存歯の寿命に影響する可能性があります。一方、インプラントは周囲の歯に負担をかけないため、残存歯の保護という観点からもメリットがあります。
また、入れ歯は時間の経過とともに顎の骨が痩せていく「顎堤吸収」が進むため、定期的な調整や作り直しが必要になることがあります。インプラントは顎の骨に適度な刺激を与えるため、骨吸収を防ぐ効果があります。
お手入れ方法と耐久性の違い
入れ歯とインプラントでは、日々のお手入れ方法も大きく異なります。
入れ歯は毎日取り外して専用のブラシと洗浄剤でのお手入れが必要です。就寝時には外して洗浄液に浸けておくことが推奨されます。こまめなケアを怠ると、口臭や義歯性口内炎の原因になることもあります。
インプラントは取り外しができないため、自分の歯と同じように歯ブラシや歯間ブラシでのブラッシングが基本です。特にインプラントと歯茎の境目は丁寧に清掃する必要があります。インプラント周囲炎を防ぐためには、日々のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアが欠かせません。
耐久性についても違いがあります。適切なケアを行った場合、インプラントは10年以上の生存率が95%以上と報告されており、場合によっては一生使用できることもあります。一方、入れ歯は平均して5~7年程度で調整や作り直しが必要になることが多いです。
インプラントと入れ歯を組み合わせた治療法
近年では、インプラントと入れ歯を組み合わせた「インプラントオーバーデンチャー」という治療法も注目されています。これは少数のインプラントを埋入し、それを支えにして入れ歯を固定する方法です。
通常の入れ歯よりも安定性が高く、インプラントよりも費用を抑えられるというメリットがあります。特に下顎の総入れ歯の場合、わずか2本のインプラントでも大きな安定性の向上が期待できます。
2002年のカナダのMcGillのコンセンサスレポートでは、「2本のインプラントによるオーバーデンチャーが今後、下顎無歯顎の補綴治療の第一選択となる」と述べられており、学術的にも裏付けられた治療法です。
年齢や健康状態による選択基準
入れ歯とインプラント、どちらを選ぶべきかは年齢や健康状態によっても変わってきます。
インプラント治療は外科手術を伴うため、全身疾患がある方や高齢の方は適応できないケースもあります。特に糖尿病や骨粗しょう症、心疾患などの持病がある場合は、慎重な判断が必要です。また、喫煙習慣のある方はインプラントの成功率が低下する傾向があります。
一方、入れ歯は外科手術が不要なため、全身状態に関わらず比較的安全に治療を受けることができます。高齢の方や全身疾患をお持ちの方には、入れ歯の方が適している場合が多いです。
年代別の選択ポイント
20~40代の比較的若い世代では、長期的な視点からインプラントを選択されることが多いです。若いうちにインプラントを入れることで、長期間にわたって快適な口腔環境を維持できるメリットがあります。
50~60代では、健康状態や骨の状態、経済的な面も含めて総合的に判断することが大切です。この年代では、インプラントと入れ歯のどちらも選択肢として検討する価値があります。
70代以上の高齢者の場合、手術のリスクや回復期間を考慮すると、入れ歯を選択されるケースが多いです。ただし、健康状態が良好で、ご本人の希望が強い場合は、インプラント治療も十分に検討する価値があります。
くろさき歯科での入れ歯とインプラント治療
くろさき歯科では、患者さん一人ひとりのお口の状態やライフスタイル、ご希望に合わせた最適な治療法をご提案しています。
当院では特に入れ歯治療に力を入れており、「第三世代の歯科治療®」という総合的な歯科医療アプローチを採用しています。これは単なる歯の治療にとどまらず、お口全体の健康を重視した治療法です。
入れ歯治療においては、従来の入れ歯の問題点を解決する様々な工夫を取り入れています。例えば、金属床義歯やノンクラスプデンチャーなど、患者さんの状態に合わせた多様な選択肢をご用意しています。
また、インプラント治療に関しても、最新の技術と設備を導入し、安全で確実な治療を心がけています。ただし、当院では「高額なインプラント、その前に進化していく入れ歯という選択肢があります」という考え方で、必ずしもインプラントが最適解ではないケースもあることをお伝えしています。
無料相談のご案内
くろさき歯科では、入れ歯やインプラントに関する無料相談を実施しています。「どちらの治療が自分に合っているのか分からない」「費用や治療期間が気になる」といったお悩みにも、専門医が丁寧にお答えします。
特に入れ歯に関しては、「入れ歯専門」のサイトも設けており、より詳しい情報をご覧いただけます。また、定期的なメンテナンスや調整も重要ですので、治療後のアフターケアも充実させています。
お口の健康は全身の健康にも大きく関わります。歯を失ってお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ:あなたに合った選択をするために
入れ歯とインプラント、どちらが優れているかは一概には言えません。それぞれの特徴を理解した上で、ご自身の状態や希望に合った選択をすることが大切です。
インプラントは、自然な噛み心地や審美性に優れ、長期的な使用が可能ですが、外科手術が必要で費用も高額です。入れ歯は、手術不要で費用も比較的抑えられますが、使用感や機能性ではインプラントに劣る面があります。
選択の際には、以下のポイントを考慮することをお勧めします:
- 全身の健康状態(持病の有無や程度)
- 顎の骨の状態(量や質)
- 年齢や期待される使用期間
- 経済的な負担能力
- 日常生活での使用感の重要度
- メンテナンスの手間をかけられるか
最終的には、信頼できる歯科医師と十分に相談した上で決定することが大切です。くろさき歯科では、患者さんの立場に立った丁寧な説明と、一人ひとりに合った最適な治療提案を心がけています。
お口の健康に関するお悩みやご質問がございましたら、ぜひくろさき歯科までお気軽にご相談ください。無料相談も実施していますので、どうぞお問い合わせください。
院長・監修医師
黒崎 俊一(kurosaki syunichi)
歯学博士/日本補綴歯科学会「専門医」
経歴・資格
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1987年(昭和62年) 日本大学歯学部 卒業
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1992年(平成4年) 日本大学大学院 歯学部 補綴専攻 修了・歯学博士取得
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1996年(平成8年) くろさき歯科 開院(当院開業)
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日本補綴歯科学会認定「専門医」/日本歯科審美学会会員/日本矯正歯科学会会員
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日本大学歯学部 兼任講師として教育にも従事