美味しい物を美味しく食べるために

総入れ歯だと味がわからなくなる?

私たちがものを食べるときに食物の味を感じることができるのは、上あごやほほの内側、舌の上にある味蕾の働きによります。食事をした時に、味蕾が食物の中に含まれている化学物質を感知すると、それが脳に伝わって甘さや辛さ、酸味や苦みを感じることができるんですね。総入れ歯にすると、上あごを義歯床で覆ってしまうため、上あごにある味蕾が機能できなくなり、それで食事をした時に味がわかりにくくなるんですね。でも、味蕾は舌の上にもあってその数は約10,000個といわれているんです。ですから、総入れ歯にしたからと言って全く味がわからなくなるというわけではないんですね。

また、総入れ歯を入れた時にかみ合わせが悪いと食べ物をきちんとすりつぶせなくなるために、食物の味を感じにくくなるということがあります。さらに、舌の裏や下の奥歯のところには大きな唾液腺があるんですが、義歯床が大きすぎて唾液腺をふさいでしまうと味がわからなくなることもありますね。よく噛むと唾液もよく出るんですが、たとえば、ご飯をよく噛んで唾液が出てくると唾液の中のアミラーゼという消化酵素が、ご飯のでんぷん質を分解して、マルトースに変化させます。マルトースは甘み成分なのでご飯を噛めば噛むほど甘みを感じるんですね。ところが、義歯床が唾液腺をふさいでいると、アミラーゼの影響をあまり受け無くなるのでご飯が美味しくないということになってしまうんですね。

入れ歯によって味覚が損なわれないためには

総入れ歯であっても舌で味を感じることができるので、入れ歯にしてから味がわからなくなったという場合は、入れ歯が合っていないというのが大きな原因と言えるでしょうね。ですから、入れ歯を作る時には入れ歯の専門医にお願いして自分にピッタリのものを作る必要がありますね。くろさき歯科では、3人の入れ歯の専門家が協力して、噛み合わせが良い快適に使える入れ歯を作っています。

入れ歯を作る際にはまず、仮入れ歯を作って、それを付けていただきその後、調整していきます。良い入れ歯は歯科医との共同作業なので患者様のご感想をうかがいながら、噛み合わせ、入れ歯の大きさ、痛みの有無などを確認し、ピッタリくる仮入れ歯を作ります。調整が済んだところで本入れ歯を作るので最初からお口に合った入れ歯を使うことができます。もちろん仮入れ歯もスペアとして使うことができますよ。総入れ歯になっても、しっかりした技術で入れ歯を作れば。美味しいものを美味しく食べることができるんですね。