入れ歯の種類と選び方~あなたに最適なおすすめ義歯を専門医が解説

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入れ歯(義歯)は、失った歯の機能と見た目を回復するための重要な治療法です。しかし、「どんな種類があるの?」「自分に合った入れ歯はどれ?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

入れ歯には実に様々な種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。適切な入れ歯を選ぶことで、食事の楽しみを取り戻し、自信を持って笑顔になれるのです。

この記事では、補綴(ほてつ)専門医として30年間入れ歯を作ってきた経験から、入れ歯の種類と選び方について詳しく解説します。あなたの状態や希望に合った最適な入れ歯を見つけるためのガイドとなれば幸いです。

入れ歯の基本と種類

入れ歯とは、虫歯や歯周病、事故などによって失ってしまった歯を補う取り外し式の義歯のことです。単に「見た目を整える」だけでなく、「しっかり噛める」という機能の回復が何より重要です。

入れ歯は大きく「総入れ歯」と「部分入れ歯」の2種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

総入れ歯(総義歯)

総入れ歯は、上顎または下顎の歯がすべて失われた場合に使用する入れ歯です。歯茎(粘膜)全体を覆うように作られ、吸着力や顎の形状を利用して固定します。

50代60代で総入れ歯を使用している方は少なくありません。厚生労働省のデータによると、65〜74歳では約10%の方が総入れ歯を使用しているとされています。

総入れ歯は、支える歯がないため安定させるのが難しいという特徴があります。特に下顎の総入れ歯は、上顎に比べて安定しにくい傾向があります。

部分入れ歯(部分義歯)

部分入れ歯は、まだ自分の歯が残っている場合に使用します。残っている健康な歯を支えとして、失った歯の部分だけを補います。

部分入れ歯には「クラスプ」と呼ばれる金属のバネを使って残存歯に固定するタイプが一般的です。残っている歯が多いほど、入れ歯の安定性は高まります。

どんな入れ歯が最適かは、残っている歯の状態や本数、位置などによって大きく変わってきます。

入れ歯の材質による分類

入れ歯は使われる材質によっても分類できます。材質によって特徴や使用感、見た目が大きく異なるため、自分に合ったものを選ぶことが重要です。

入れ歯の主な材質には、レジン(プラスチック)、金属、ノンクラスプデンチャー用の特殊樹脂などがあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

レジン床義歯(プラスチック)

レジン床義歯は保険適用の入れ歯で最も一般的なタイプです。プラスチックの一種であるレジンで作られており、比較的安価で作製できます。

保険適用なので費用を抑えられることが最大のメリットです。3割負担の場合、総入れ歯で約9,000円、部分入れ歯で約3,000~7,000円程度で作製できます。

しかし、強度を確保するために厚みが必要となるため、装着時に違和感が生じやすく、食べ物の温度も感じにくいというデメリットがあります。また、金属のクラスプ(バネ)が目立つことも気になる点です。

耐用年数は平均5年以下と比較的短いですが、修理しやすいという利点もあります。

金属床義歯

金属床義歯は、床の部分に金属(チタンやコバルトクロムなど)を使用した入れ歯です。保険適用外(自費診療)となりますが、多くのメリットがあります。

金属は熱伝導性が高いため、食べ物の温度を感じやすく、薄く作れるので違和感が少なく、話しやすいという特徴があります。また、強度が高いため壊れにくく、長期間使用できます。

費用は約25万~35万円程度と高額ですが、耐久性や使用感を考えると長い目で見れば経済的とも言えます。

ただし、金属アレルギーのある方は使用できない場合があります。また、修理に時間がかかることもデメリットの一つです。

ノンクラスプデンチャー(審美義歯)

ノンクラスプデンチャーは、金属のバネを使わない審美性に優れた部分入れ歯です。ナイロン系やポリエステル系の柔軟な樹脂で作られています。

見た目が自然で金属が見えないため、前歯部分の欠損に特に適しています。また、柔軟性があるため装着感が良く、残存歯への負担も少ないのが特徴です。

周囲の歯にやさしく、見た目を重視したい方に人気がありますが、保険適用外のため費用は約15万~25万円程度かかります。

耐久性はレジン床より優れていますが、金属床より劣る点や、経年変化で変色する可能性があることも知っておくべきでしょう。

保険適用と自費診療の違い

入れ歯を選ぶ際に大きな分かれ道となるのが、保険適用か自費診療かという点です。それぞれにメリット・デメリットがありますので、しっかり理解した上で選択することが重要です。

保険適用の入れ歯

保険適用の入れ歯は、国が定めた基準に従って作製される入れ歯です。素材や製作方法が限定されていますが、費用が抑えられるというメリットがあります。

保険適用の入れ歯の特徴として、床はレジン(プラスチック)、クラスプ(バネ)は金属と材料が限定されています。どの歯科医院でも同じ材料で作られるため、価格も全国一律です。

しかし、素材や製作方法の制約があるため、装着感や見た目、耐久性に限界があることは理解しておく必要があります。

くろさき歯科では、保険適用の入れ歯を「建売住宅」に例えています。あらかじめ決められた設計で作られるため、患者さん一人ひとりの口腔状態に完全に適合させることが難しい場合があるのです。

自費診療の入れ歯

自費診療の入れ歯は、保険の制約を受けないため、患者さんの状態や希望に合わせて自由に素材や設計を選べます。くろさき歯科では「完全注文住宅」と表現しています。

自費診療の入れ歯では、金属床やノンクラスプデンチャーなど様々な素材を選択できます。また、より精密な型取りや調整が可能なため、装着感や機能性に優れています。

もちろん、費用は保険適用のものより高額になりますが、耐久性や使用感、見た目の自然さを重視する方には、長い目で見ると満足度の高い選択となるでしょう。

特に、「入れ歯だとわかりにくく、強度もある入れ歯」を希望される方には、自費診療の入れ歯がおすすめです。

入れ歯選びで重視すべきポイント

入れ歯選びは人生の質に直結する重要な決断です。何を重視して選べばよいのか、主なポイントを解説します。

入れ歯は単に「歯がない部分を埋める」だけのものではありません。食事を楽しむ、会話を楽しむ、自信を持って笑うなど、生活の質を大きく左右するものです。

機能性(噛む・話す)

入れ歯の最も重要な役割は、失った歯の機能を回復することです。しっかり噛めるかどうかは、食事の楽しみだけでなく、健康や栄養状態にも直結します。

良質な入れ歯は、固いものも問題なく噛めるようになります。くろさき歯科の入れ歯は、口腔機能を回復させる役割を果たすため、食事の制限がほとんどなくなるよう設計されています。

また、発音のしやすさも重要なポイントです。特に上顎の入れ歯は発音に大きく影響するため、話しやすさを考慮した設計が必要です。

入れ歯の機能性は、素材や設計だけでなく、歯科医師の技術や経験にも大きく左右されます。補綴専門医による治療は、より高い機能回復が期待できるでしょう。

装着感と快適性

毎日使うものだからこそ、装着感の良さは非常に重要です。違和感が強いと、せっかくの入れ歯も使わなくなってしまいます。

金属床義歯やノンクラスプデンチャーは、レジン床よりも薄く作れるため、違和感が少ないという特徴があります。また、シリコン素材を使ったコンフォート入れ歯は、クッション性があり痛みが出にくいのが特徴です。

くろさき歯科では、治療用入れ歯でお口の機能を回復させてから本入れ歯を作製する2段階方式を採用しています。これにより、より快適な装着感を実現しています。

入れ歯は寝る時に外すものだと思っていませんか?

実は、くろさき歯科の入れ歯は口腔機能を回復させる役割をしますので、寝る時も装着したままでOKなのです。特に女性の場合、入れ歯を外した顔を見たくないという方も多いですよね。

見た目(審美性)

入れ歯の見た目は、自信を持って笑えるかどうかに直結します。特に前歯部分の欠損がある場合は、審美性を重視した選択が重要です。

保険適用の入れ歯は、金属のクラスプ(バネ)が目立つことがあります。一方、ノンクラスプデンチャーは金属が見えないため、見た目を重視する方に適しています。

また、人工歯の色や形、配列も自然さに大きく影響します。自費診療の入れ歯では、より自然な見た目を実現するための細かな調整が可能です。

「入れ歯だとわかりにくい」自然な見た目を希望される方は、自費診療の入れ歯を検討されるとよいでしょう。

耐久性と長期使用

入れ歯は決して安い買い物ではありません。長く使えるかどうかは、コストパフォーマンスを考える上で重要なポイントです。

保険適用のレジン床義歯の耐用年数は平均5年以下とされています。一方、金属床義歯はより耐久性に優れ、適切なケアを行えば10年以上使用できることもあります。

また、修理のしやすさも考慮すべきポイントです。レジン床は比較的修理がしやすいですが、金属床は修理に時間がかかることがあります。

くろさき歯科では、加齢とともに変化する口腔内の状態に合わせて、入れ歯の修理や調整を行っています。長く快適に使い続けるためのサポート体制も、選ぶ際の重要なポイントです。

入れ歯治療の流れと期間

入れ歯治療は一日で終わるものではありません。適切な入れ歯を作るためには、いくつかのステップと時間が必要です。その流れと期間について解説します。

初診・カウンセリング

入れ歯治療の第一歩は、詳細な口腔内検査とカウンセリングです。残っている歯の状態、歯茎の状態、噛み合わせなどを総合的に診断します。

この段階で、患者さんの希望や生活スタイル、予算などもヒアリングし、最適な入れ歯の種類を提案します。疑問点や不安なことは、この段階でしっかり相談しておくことが大切です。

くろさき歯科では、入れ歯の専門医である院長が直接カウンセリングを行い、50種類以上の入れ歯パターンの中から、患者さん一人ひとりに最適な入れ歯を提案しています。

「しっかり噛めるようになりたい」「見た目を良くしたい」「痛みなく使いたい」など、あなたの希望をぜひ伝えてください。

前処置(必要に応じて)

入れ歯を入れる前に、残っている歯の治療や歯茎の状態を整えることが必要な場合があります。虫歯や歯周病の治療、必要に応じて抜歯なども行います。

くろさき歯科では、歯周病や根管治療の専門医が連携していますので、複数の歯科医院に行くことなく、一貫した治療を受けることができます。

また、抜歯が必要な場合でも、入れ歯の型取りと同時進行で治療を行うことで、入れ歯が使えない期間を短縮する工夫をしています。

前処置の期間は、お口の状態によって異なりますが、1~3ヶ月程度かかることが一般的です。

型取りと試適合

前処置が終わったら、入れ歯を作るための精密な型取りを行います。この型を基に、歯科技工士が入れ歯を製作します。

くろさき歯科では、20年の付き合いがある技工所で入れ歯を製作し、院内で調整を行うことで、より精度の高い入れ歯を提供しています。

試適合では、仮の入れ歯を装着して、大きさや形、噛み合わせなどを確認します。必要に応じて調整を行い、最終的な入れ歯の形を決定します。

特に、くろさき歯科の2段階製作方式では、治療用入れ歯でお口の機能を回復させてから本入れ歯を作製するため、より適合の良い入れ歯が期待できます。

完成・調整・メンテナンス

入れ歯が完成したら、実際に装着して最終調整を行います。噛み合わせや当たり具合を細かくチェックし、違和感や痛みがないように調整します。

入れ歯に慣れるまでには通常1~2週間程度かかります。この間、違和感や痛みがあれば、遠慮なく歯科医院に相談し、調整してもらうことが大切です。

入れ歯は経年変化で合わなくなることもあるため、定期的なメンテナンスが重要です。くろさき歯科では、入れ歯の修理や調整にも対応しており、長期間快適に使用できるようサポートしています。

入れ歯は「作って終わり」ではありません。お口の状態やライフスタイルの変化に合わせて、定期的なチェックと調整がとても大切です。

入れ歯のケアと注意点

入れ歯を長持ちさせ、快適に使い続けるためには、適切なケアが欠かせません。日々のお手入れ方法と注意点について解説します。

日々のお手入れ

入れ歯は毎日清掃することが基本です。食後には入れ歯を外して、流水でよく洗い、食べかすを取り除きましょう。

入れ歯専用のブラシを使って、表面を優しく磨くことも大切です。特に、クラスプ(バネ)の周りや人工歯と床の境目は汚れがたまりやすいので、丁寧に清掃しましょう。

また、入れ歯洗浄剤を使用することで、ブラシでは落としきれない汚れや細菌を除去し、消臭効果も期待できます。ただし、入れ歯の種類によって適した洗浄剤が異なるため、歯科医師の指示に従いましょう。

入れ歯を外している間は、水や専用の洗浄液に浸けて保管し、乾燥を防ぎましょう。乾燥すると変形の原因になることがあります。

定期検診の重要性

入れ歯は時間の経過とともに合わなくなることがあります。これは、歯茎や顎の骨が徐々に変化するためです。

定期的に歯科医院を受診し、入れ歯の適合状態をチェックしてもらうことが重要です。早めに調整することで、不具合を未然に防ぎ、快適に使い続けることができます。

くろさき歯科では、入れ歯の修理や調整にも対応しています。不具合を感じたら、すぐに相談することをおすすめします。

修理の際には、単なる修理ではなく、口腔内の検査を行い、不具合の根本原因を特定することが重要です。そうしなければ、何度も同じ問題が繰り返されることになります。

よくある問題と対処法

入れ歯を使用していると、様々な問題が生じることがあります。代表的な問題とその対処法を紹介します。

痛みや違和感がある場合は、無理に使用せず、歯科医院で調整してもらいましょう。自己判断での調整は、入れ歯を傷める原因になります。

入れ歯がカタつく・外れやすい場合は、入れ歯安定剤の使用も一時的な対処法として考えられますが、根本的な解決にはなりません。くろさき歯科では、お口にぴったり合う入れ歯を目指しており、入れ歯安定剤が必要ないよう調整しています。

また、入れ歯に慣れるまでの間は、柔らかい食べ物から始め、徐々に硬いものにチャレンジするとよいでしょう。

まとめ:あなたに最適な入れ歯を見つけるために

入れ歯の種類と選び方について詳しく解説してきました。最後に、あなたに最適な入れ歯を見つけるためのポイントをまとめます。

入れ歯選びで最も重要なのは、あなたの状態と希望に合った選択をすることです。保険適用か自費診療か、素材は何にするか、機能性と審美性のバランスをどうとるかなど、様々な要素を総合的に考慮する必要があります。

くろさき歯科では、補綴専門医の院長が30年の経験を活かして治療計画を立て、50種類以上の入れ歯パターンから患者さん一人ひとりに最適な入れ歯を提案しています。

また、治療用入れ歯でお口の機能を回復させてから本入れ歯を作製する2段階方式を採用し、かみ合わせに精通した歯科技工士が入れ歯を製作することで、より快適な入れ歯を実現しています。

入れ歯は「作って終わり」ではなく、定期的なメンテナンスが重要です。くろさき歯科では、修理対応により長期使用をサポートしています。

「入れ歯が合わない」「しっかり食事ができない」「見た目が気になる」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ専門医に相談してみてください。あなたの生活の質を大きく向上させる、最適な入れ歯が見つかるはずです。

くろさき歯科では無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。専門家が親身になってお話を伺い、一人ひとりに最適な治療方法をご提案いたします。

詳しくは、入れ歯・義歯治療のページをご覧ください。あなたの笑顔と快適な食生活を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

院長・監修医師

黒崎 俊一(kurosaki syunichi)

歯学博士/日本補綴歯科学会「専門医」

経歴・資格

  • 1987年(昭和62年) 日本大学歯学部 卒業

  • 1992年(平成4年) 日本大学大学院 歯学部 補綴専攻 修了・歯学博士取得

  • 1996年(平成8年) くろさき歯科 開院(当院開業)

  • 日本補綴歯科学会認定「専門医」/日本歯科審美学会会員/日本矯正歯科学会会員

  • 日本大学歯学部 兼任講師として教育にも従事