重度の歯周病はどこまで進む?歯が抜ける前に知りたい治療法と入れ歯の選択肢

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歯周病が「重度」になるとは?進行のメカニズムを知る

歯周病は「静かに進む病気」と言われます。

痛みが出にくいため、気づいたときには既に進行していることが少なくありません。歯を支える骨が失われていく過程は、患者さん自身が実感しづらいのです。

重度の歯周病とは、歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の溝)が6mm以上になり、歯を支える顎の骨が大幅に溶かされている状態を指します。この段階では、歯が抜けてしまうリスクが非常に高まります。

具体的な症状としては、歯ぐきが真っ赤に腫れて膿が出る、歯ぐきからの出血がひどくなる、歯が激しくグラつき食事に不自由を感じる、歯と歯の隙間が目立つようになる、歯ぐきがさらに下がり歯が長くなったように見える、口臭が強くなるといったものが挙げられます。

歯周病菌は歯の表面をつたいながら深部へ進行し、出す毒素によって歯の周りの組織が破壊されていきます。歯周ポケットには多くの歯垢・歯石が溜まり、歯周病原菌の活動によって歯ぐきや顎の骨が溶かされていくのです。

顎の骨がここまで溶かされると、万が一歯が抜け落ちてしまった際に、失った歯を補う治療をするのも大変になります。だからこそ、早期の発見と専門的な治療が必要不可欠なのです。

重度歯周病の治療法・・・歯科医医による精密なアプローチ

重度の歯周病治療は、難易度の高い治療方法も含めて複合的に進めていきます。

歯を残せるかどうかが歯周病の臨床経験が豊富な歯科医師の腕の見せ所です。可能な限り歯を残すことを目標としますが、全体の長期的安定を考えて、やむを得ず抜歯をお勧めする場合もあります。

歯周基本治療・・・すべての治療の土台となるケア

歯周病治療の基本は、歯の周りに着いた歯周病菌を除去することです。

まず、ご自身で正しいブラッシングを行うことで、歯の周りに付いている歯垢(プラーク)を除去します。歯垢は歯周病菌を主とする菌の集合体で、特異的に歯の表面に付きます。歯石は歯垢が唾液中のカルシウムイオンを含んで固まったもので、その表面には歯垢が付着しています。

歯科医院では、超音波・音波振動する器具で、歯に付いている歯石と歯垢を破壊し除去します。歯ぐきより上についている歯垢・歯石取りから始め、さらに歯ぐきの中についている歯垢・歯石取りへと進みます。

ルートプレーニングでは、超音波・音波振動する器具と先端に刃の付いた器具で、歯に付いている歯石と歯垢を除去し、根の表面を滑沢にします。

FMD(フルマウスディスインフェクション)・・・徹底的な除菌治療

一回の来院で歯周病菌に効く抗生物質を飲むのと同時に、すべての歯ならびに舌、頬粘膜をクリーニングして、歯周病菌とその住処を除去する治療法です。

歯周病の原因となる菌はバイオフィルムと呼ばれるバリアに包まれている細菌の塊の中に存在しています。バイオフィルムはブラッシングだけで除去することができないため、歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングを行って除去していきます。

一方で、歯周病の原因となる菌は体内でも生息が可能なため、抗生物質による除菌を行う必要があります。体内外の歯周病の原因となる菌を除去することにより、治療の効果を格段に高めることができるのです。

歯周外科治療・・・深部の歯石を確実に除去

歯ぐきの中深く(歯根の深いところ)にまで歯石が付着すると、器具が届かず取り切れません。

そうした場合は、麻酔をした後に歯ぐきを切開し、歯根を露出させて確実に歯石を除去していく治療です。歯ぐきをめくって目視できる状態で、歯に付いている歯石と歯垢を除去します。歯ぐきの奥深くまで、歯石を徹底除去することが可能になります。

歯周組織再生療法・・・失われた骨を取り戻す

歯周病によって失われた骨等の歯を支えている組織を回復する治療法です。

失われた組織を回復するために必要な場所を作り、失われた組織を誘導する薬剤をその中に入れ、組織を再生させます。エムドゲイン(エナメル基質タンパク)とほかの部位から採取した骨を、歯周病で失われた骨の部分に填入することで、骨の再生を試みます。

また、他部位から採取した健康で頑丈な歯ぐきを移植することにより、健康で頑丈な歯ぐきを再生させることも可能です。

歯周補綴治療・・・グラつく歯を安定させる

重度の歯周病まで進行すると、歯を支える骨が大きく溶かされている状態なので、歯がグラグラします。

グラグラしている歯では、食べ物を噛むことが困難になるだけでなく、プラークコントロールも難しくなってしまいます。そういった場合は、歯周補綴といってグラグラしている歯をかぶせものによって固定し、歯を安定させることを目的とした治療を行います。

揺れている歯をお互いにつなぐために被せ物をつなげて作りそれを歯にかぶせることで、歯を安定させる方法です。それによって、歯周治療と同時に噛み合わせの回復も目指すことができます。

歯が揺れていると歯周病は治りません。歯並びと咬みあわせも非常に重要で、歯並びは歯磨きのしやすさやプラークの停滞に影響し、咬みあわせは歯に強い揺さぶりの力がかかると歯周病が一気に進んでしまうため、矯正治療や咬合治療、修復治療が必要になることもあります。

やむを得ない抜歯の判断・・・全体を守るための決断

歯周病の臨床経験が豊富な歯科医師は、まず最初にどうすれば出来るだけ多くの歯を残せるかを考えて治療を始めます。

しかし、いかなる方法をとっても残す見込みがない歯に関してだけは、抜歯をお勧めする場合があります。重度の歯周病に侵された歯に関しては、原因除去してもその歯を支える骨がないので使えません。また、そのまま残しておくと、歯周病菌数が減らないうえにどんどん周りの骨が失われていくので危険です。

どう頑張っても残せない歯は、早く抜くことが全体の長期的安定につながります。中長期的な視点で考えたときに、歯を残すことによって起こるリスクも存在するのです。これを戦略的抜歯と言います。

入れ歯とインプラントの違いを徹底比較!選ぶ基準とは

入れ歯とインプラントの違いをメリット・デメリットで徹底比較。どちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、分かりやすく基準とポイントを解説します。


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歯を失った後の選択肢・・・入れ歯とインプラントの違い

歯周病によって歯を失ってしまった場合、早急に歯の機能を補うための治療(補綴治療)を受けなければなりません。

歯が抜けたままになっていると、かむ力が低下するばかりでなく、残りの歯に負担がかかりすぎて、歯が傾いたり、伸び出したりして、かみ合わせが悪くなってきます。歯は抜けたままにしないようにしましょう。

入れ歯(義歯)という選択肢

入れ歯は手術が不要で、比較的安価に作製できるため、コストを抑えたい方に魅力的です。

多くのケースで保険適用となり、型取りから調整まで、通常1〜2ヶ月程度で装着可能です。糖尿病や心疾患など、持病がある方でも比較的安心して選べる治療法です。

ただし、調整は可能ですが、噛む力は天然歯の3割〜5割程度といわれ、硬いものや粘着質の食べ物に不安を感じることがあります。見た目も、金属のバネなどが見えることで気になる場合があります。

入れ歯にも歯と同じように食べかすやプラーク(歯垢)がつきます。毎日のお手入れで清潔にしておくことが大切です。毎食後は入れ歯を外して流水下で清掃し、就寝前は義歯洗浄剤を使用してお手入れしましょう。

テレスコープ義歯・・・残りの歯を活かす選択

残せる歯の本数が数本である場合や、残っている歯も歯周病でグラグラしてしまっている場合は、すべての歯を抜いて総入れ歯にする前に、「テレスコープ義歯」を取り入れるという選択肢もあります。

テレスコープ義歯は、残っている歯の上からかぶせるようにして装着する入れ歯です。残っている歯がグラついたり抜けたりしないように固定しながら、入れ歯としての機能も果たしてくれるため、「残りの歯も大切に残しながら入れ歯治療を受けたい」という方に選ばれています。

ただし、テレスコープ義歯を使用すれば、残りの歯は絶対に抜けないということではありません。残っている歯もゆくゆく喪失する可能性を考慮し、歯が抜けた場合は義歯を修理して使用できるように工夫して作られます。

インプラント治療・・・天然歯に近い機能の回復

インプラント治療とは、歯が抜けた部分に「インプラント」という金属でできた軸を埋め込み、そこに義歯を装着するという治療法です。

顎骨に固定されるため、天然歯とほぼ変わらない高い噛む力と自然な見た目(審美性)を実現します。部分入れ歯の場合は隣の歯に固定する必要があるため、歯周病が原因で支えが弱くなってしまった歯に余計に負担をかけてしまいます。その点インプラントは、残りの歯を健康な状態に保ちつつ、欠損した歯を補うことが可能です。

ただし、歯周病の進行状態によってはインプラント治療を受けられない場合もあります。歯周病が進行すると、歯ぐきだけでなく歯根骨も溶けて薄くなってしまいます。インプラント治療では歯根骨にインプラントを埋め込むため、歯ぐきや歯根骨が痩せてしまっている状態では、インプラントを埋め込むことも難しくなります。

また、歯周病によって歯を失ってしまった方の場合は、インプラント周囲炎という症状を招きやすく、せっかく入れたインプラントが抜け落ちてしまうリスクが高まります。優先すべきは、まず適切な歯周病治療を受けることです。

くろさき歯科が選ばれる理由・・・歯科医による根拠ある治療

さいたま市・南浦和駅エリアにあるくろさき歯科では、「歯を守ること」「生涯にわたり健康を支えること」を最優先に、最新知見に基づいた歯周病治療をご提供しています。

歯周病の臨床経験が豊富な歯科医師が常勤

当院には、歯周病の臨床経験が豊富な歯科医師が常勤しています。

「どこで治療しても同じだと思っていたけど、説明の丁寧さと診断の深さが違う」という声が多く寄せられます。あなたの将来の歯を守る治療を歯科医が担当するため、安心して任せられます。

マイクロスコープによる精密治療

肉眼では見えない細部まで確認できるマイクロスコープを使用し、感染部位の取り残しを極限まで減らします。

特に、歯周病が進行して根管治療が必要なケースでは再発リスクを大幅に低減し、治療の成功率を高めることが可能です。「今まで治らなかった症状が改善した」という体験談も多く、納得感の高い治療が受けられます。

最新の診断技術で”見える歯周病治療”

歯周病は、患者様自身が進行を実感しづらい病気です。

当院では最新の診断機器を用いて、歯ぐきの状態・骨の状態・炎症レベルを詳細に評価します。診断データをもとに、一人ひとり異なる進行度に合わせた治療計画をご提案します。数字や画像でわかりやすく説明してもらえるので、今の状態、どんな治療が必要か、どこまで改善できるかがしっかり理解できます。

管理栄養士による栄養面からのサポート

歯周病は、歯ぐきだけでなく「体の免疫環境」と深く関連しています。

当院には管理栄養士が在籍しており、必要に応じて不足栄養素の血液検査、食生活指導、免疫力改善のための食事提案、必要に応じてサプリメントのご案内を行います。歯科と栄養学の両面から、再発しにくい健康な状態を目指します。

「歯の治療なのにここまで見てくれるんだ」と驚かれる方も多いです。歯周病は感染症であり、免疫力が弱まると悪化しやすい病気だからこそ、体の内側から治療をサポートする取り組みも行っています。

歯周病と全身の健康・・・放置できない理由

歯周病は放置すると歯を失うだけでなく、糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞・早産などの全身疾患とも深く関わります。

歯の根元には歯根膜という歯や口の中だけでなく全身の健康に大きな影響を及ぼす組織があります。天然歯に歯根膜がある事によりインプラントや入れ歯などの人工物と違い触感や歯ざわりを感じることができ食べる喜びを味わうことができるのです。

歯根膜を失うと脳に繋がる情報が途絶え、脳血流が減少し、記憶力の低下やアルツハイマー認知症の予備軍となる可能性があります。また、死亡リスクが2倍に増える、心疾患が増える、睡眠時無呼吸が起きやすい、誤嚥性肺炎の要因となるといった全身への影響も報告されています。

さらに、骨粗しょう症を招く、寝たきりを招く、転倒大腿骨骨折を招く、握力などの筋力が衰え運動機能が低下するといった筋力・骨への影響も指摘されています。

だからこそ当院では、正確な診断、根拠ある治療、臨床経験の豊富な歯科医師による継続管理、生活・栄養面からのサポートを一つの流れとして提供し、患者様が「長く・健康に・自分の歯で生きる」未来を守ることを目標としています。

無料相談を実施しています・・・早めの診断が何より大切

「歯周病かもしれない…」という不安があったら、早めの診断が何より大切です。

歯ぐきの出血、口臭、歯が揺れてきた、歯ぐきが下がった、歯石がすぐつくといった症状がある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。歯周病の臨床経験が豊富な歯科医師が丁寧に診察し、あなたに合った改善方法をご提案いたします。

「治療が必要かわからない」「まずは話だけ聞きたい」という方でも気軽にご利用いただけます。歯周病は早期発見なら必ず守れる歯が増えます。歯科医があなたの不安にしっかり向き合い、ベストな治療法をご提案します。

重度の歯周病でお悩みの方、「歯がぐらついてきた」「口臭が気になる」「歯ぐきから血が出る」「何年も歯周病が改善しない」「他院で様子見と言われて不安」といった症状がある方は、どれか一つでも当てはまる方は、ぜひ一度くろさき歯科にご相談ください。

院長・監修医師

黒崎 俊一(kurosaki syunichi)

歯学博士/日本補綴歯科学会「専門医」

経歴・資格

  • 1987年(昭和62年) 日本大学歯学部 卒業

  • 1992年(平成4年) 日本大学大学院 歯学部 補綴専攻 修了・歯学博士取得

  • 1996年(平成8年) くろさき歯科 開院(当院開業)

  • 日本補綴歯科学会認定「専門医」/日本歯科審美学会会員/日本矯正歯科学会会員

  • 日本大学歯学部 兼任講師として教育にも従事