入れ歯が痛い原因と5つの対処法|専門医が教える快適な装着のコツ
入れ歯の痛みに悩む方へ〜痛みの原因を知ることが解決の第一歩
入れ歯を使い始めたばかりの方も、長く使っている方も、「痛い」という悩みを抱えている方は少なくありません。痛みがあると食事が楽しめなくなるだけでなく、会話も億劫になり、日常生活の質が大きく低下してしまいます。
入れ歯の痛みは我慢するものではなく、適切な対処で改善できる問題です。長年にわたり入れ歯治療に携わってきた経験から言えることは、痛みの原因を正しく理解することが、快適な入れ歯生活への第一歩だということです。
当院には「入れ歯が合わない」「痛くて使えない」というお悩みを抱えた患者さんが多く来院されます。そのほとんどが適切な調整や新しい入れ歯の製作によって、快適に使用できるようになっています。
この記事では、入れ歯が痛くなる主な原因と、その対処法について詳しく解説します。痛みに悩む方が、再び快適に食事や会話を楽しめるようになるためのヒントをお伝えします。
入れ歯が痛くなる5つの主な原因〜専門医の視点から
入れ歯が痛くなる原因はさまざまですが、主に以下の5つが考えられます。それぞれの原因を理解することで、適切な対処法を見つけやすくなります。
1. 新しい入れ歯に慣れていない
初めて入れ歯を使用する方や、新しく入れ歯を作り直した方によく見られる原因です。口の中の粘膜は非常に敏感で、異物が入ることに対して敏感に反応します。
新しい入れ歯を装着すると、歯ぐきに圧力がかかり、摩擦によって痛みや不快感を感じることがあります。これは入れ歯に慣れるまでの一時的な症状であることが多いのですが、強い痛みが続く場合は調整が必要です。
2. 入れ歯の適合不良
入れ歯の形状や大きさが口の中の状態に合っていない場合、特定の部位に過度な圧力がかかり、痛みを引き起こします。これは新しい入れ歯でも起こりますが、長期間使用している入れ歯でも発生します。
特に長く使っている入れ歯の場合、顎の骨が徐々に痩せていくため、以前はぴったり合っていた入れ歯が合わなくなることがあります。また、入れ歯自体も経年変化によって変形することがあります。
食事中や会話中に入れ歯がずれたり、特定の場所が痛んだりする場合は、入れ歯の適合不良が疑われます。
3. 噛み合わせの問題
入れ歯の噛み合わせが適切でないと、咀嚼時に特定の部位に過度な力がかかり、痛みを引き起こすことがあります。噛み合わせのバランスが悪いと、入れ歯が動きやすくなり、歯ぐきを傷つける原因にもなります。
噛む力は想像以上に強いもので、わずかな噛み合わせの不具合でも、長時間使用すると大きな痛みにつながることがあるのです。
4. 入れ歯の衛生状態の問題
入れ歯の清掃が不十分だと、細菌が繁殖して口内炎や歯肉炎を引き起こし、痛みの原因となることがあります。特に入れ歯と歯ぐきの間に食べ物が挟まると、細菌の温床となりやすいです。
また、入れ歯洗浄剤の使用方法が不適切な場合、入れ歯の表面が荒れて歯ぐきを傷つけることもあります。毎日の適切なケアが痛みの予防には欠かせません。
5. 口腔内の状態変化
年齢とともに口腔内の状態は変化します。唾液の分泌量が減少すると入れ歯の固定力が低下し、ずれやすくなって痛みを引き起こすことがあります。
また、歯ぐきの痩せや形状の変化によっても、以前は合っていた入れ歯が合わなくなることがあります。定期的な歯科検診で口腔内の変化をチェックすることが大切です。
入れ歯の痛みに対する5つの効果的な対処法
入れ歯の痛みは適切な対処で改善できます。以下に5つの効果的な対処法をご紹介します。
1. 歯科医院での専門的な調整
入れ歯の痛みを感じたら、まずは歯科医院で調整してもらうことが最も確実な解決策です。歯科医師は専門的な知識と技術を持ち、痛みの原因を特定して適切な調整を行います。
当院では、患者さんの訴えを丁寧に聞き取り、口腔内の状態を詳しく検査した上で、痛みの原因に合わせた調整を行っています。入れ歯の内面を削ったり、噛み合わせを調整したりすることで、痛みを軽減することができます。
特に新しい入れ歯の場合は、装着後数日から数週間の間に複数回の調整が必要になることがあります。痛みを我慢せず、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
2. 入れ歯安定剤の適切な使用
入れ歯安定剤は、入れ歯と歯ぐきの間に隙間がある場合に、一時的に安定させるために使用するものです。入れ歯のずれを防ぎ、痛みを軽減する効果があります。
ただし、入れ歯安定剤は根本的な解決策ではなく、あくまで一時的な対処法です。長期間使用し続けると、かえって口腔内の状態を悪化させることがあるため、使用する際は歯科医師に相談することをお勧めします。
使用する場合は、説明書をよく読み、適切な量を使用することが大切です。使いすぎると逆効果になることもあります。
3. 適切な入れ歯のケア
入れ歯の痛みを予防するためには、日々の適切なケアが欠かせません。入れ歯専用のブラシを使って、毎食後に清掃することをお勧めします。
また、就寝時には入れ歯を外し、入れ歯洗浄剤に浸けておくことで、細菌の繁殖を防ぎ、入れ歯を清潔に保つことができます。ただし、洗浄剤の使用方法は製品によって異なるため、説明書をよく読んで使用してください。
入れ歯を外した際には、水に浸けて保管することも大切です。乾燥させると変形の原因になります。
4. 食事の工夫
入れ歯に慣れるまでは、食事の内容や食べ方を工夫することで、痛みを軽減できることがあります。柔らかい食べ物から始めて、徐々に硬いものに挑戦していくとよいでしょう。
また、食べ物を小さく切って、左右の奥歯でバランスよく噛むことで、入れ歯への負担を減らすことができます。前歯で噛み切る動作は、入れ歯が外れやすくなるため、なるべく避けるようにしましょう。
食事の際は、ゆっくり時間をかけて噛むことも大切です。急いで食べると、入れ歯に過度な負担がかかり、痛みの原因になることがあります。
5. 定期的な歯科検診
入れ歯を長く快適に使用するためには、定期的な歯科検診が欠かせません。一般的には3〜6ヶ月に一度の検診をお勧めしています。
定期検診では、入れ歯の適合状態や噛み合わせをチェックし、必要に応じて調整を行います。また、口腔内の状態も確認し、問題があれば早期に対処することができます。
特に長期間使用している入れ歯の場合、知らず知らずのうちに適合が悪くなっていることがあります。痛みを感じる前に定期的なチェックを受けることで、快適な入れ歯生活を維持することができます。
入れ歯が痛い時に絶対にしてはいけないこと
入れ歯の痛みを感じた時、ついやってしまいがちなことで、かえって状況を悪化させることがあります。以下に絶対に避けるべき行動をご紹介します。
自己調整は危険です
入れ歯が痛いからといって、自分で削ったり調整したりすることは絶対にやめましょう。素人の調整は入れ歯を損傷させるだけでなく、修復不可能な状態にしてしまうこともあります。
痛みを感じたら、必ず歯科医院で専門的な調整を受けてください。歯科医師は入れ歯の構造を熟知しており、適切な箇所を適切な方法で調整することができます。
痛みを我慢して使い続けない
「そのうち慣れるだろう」と痛みを我慢して使い続けることは避けましょう。入れ歯の痛みを放置すると、口内炎や歯肉炎などの炎症を引き起こし、さらに症状が悪化することがあります。
また、合わない入れ歯を長期間使用し続けると、顎の骨が不自然に吸収されてしまい、将来的に入れ歯の適合がさらに難しくなることもあります。痛みを感じたら、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
入れ歯の痛みは我慢するものではなく、改善できる問題です。適切な対処で、快適な入れ歯生活を取り戻しましょう。
快適な入れ歯生活のための専門医からのアドバイス
長年にわたり多くの患者さんの入れ歯治療に携わってきた経験から、快適な入れ歯生活を送るためのアドバイスをいくつかご紹介します。
入れ歯は「作って終わり」ではありません
入れ歯は作って装着したら終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要です。口腔内の状態は年齢とともに変化していくため、それに合わせて入れ歯も調整していく必要があります。
特に初めて入れ歯を装着した方は、最初の数ヶ月間は頻繁に調整が必要になることがあります。痛みや違和感を感じたら、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。
良い入れ歯選びのポイント
入れ歯を新しく作る際には、自分に合った入れ歯を選ぶことが大切です。保険適用の入れ歯から自費診療の高機能な入れ歯まで、様々な種類があります。
当院では、患者さんのライフスタイルや予算に合わせて、最適な入れ歯をご提案しています。特に噛む機能を重視する方や、見た目の自然さにこだわる方には、それぞれのニーズに合った入れ歯をご紹介しています。
入れ歯選びで迷ったら、まずは歯科医師に相談することをお勧めします。専門的な立場から、あなたに最適な入れ歯をアドバイスすることができます。
入れ歯と全身の健康の関係
入れ歯の適合状態は、全身の健康にも影響します。合わない入れ歯で十分に噛めないと、消化不良や栄養不足を引き起こすことがあります。また、噛む機能が低下すると、脳への刺激も減少し、認知機能の低下にもつながる可能性があります。
快適に噛める入れ歯を使用することで、食事の楽しみを取り戻し、栄養バランスの良い食事を摂ることができます。これは全身の健康維持にも大きく貢献します。
入れ歯の痛みや不具合は、単に口の中の問題ではなく、生活の質全体に関わる重要な問題です。快適な入れ歯生活のために、専門医のサポートを積極的に活用してください。
まとめ:入れ歯の痛みは我慢せず専門医に相談を
入れ歯の痛みは、新しい入れ歯への適応過程や、入れ歯の適合不良、噛み合わせの問題、衛生状態の問題、口腔内の状態変化など、様々な原因で生じます。これらの痛みは適切な対処で改善できるものがほとんどです。
痛みを感じたら、歯科医院での専門的な調整を受けることが最も効果的です。また、日々の適切なケアや食事の工夫、定期的な歯科検診も、痛みの予防と快適な入れ歯生活には欠かせません。
入れ歯の痛みは我慢するものではありません。早めに専門医に相談することで、快適な入れ歯生活を取り戻すことができます。
当院では、入れ歯でお悩みの方に対して、丁寧なカウンセリングと高度な技術で、一人ひとりに合った最適な治療をご提供しています。入れ歯の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
快適な入れ歯で、もう一度食事や会話を楽しむ喜びを取り戻しましょう。
入れ歯に関する詳しい情報や無料相談については、くろさき歯科までお気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門医が、あなたの入れ歯のお悩みを解決いたします。
院長・監修医師
黒崎 俊一(kurosaki syunichi)
歯学博士/日本補綴歯科学会「専門医」
経歴・資格
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1987年(昭和62年) 日本大学歯学部 卒業
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1992年(平成4年) 日本大学大学院 歯学部 補綴専攻 修了・歯学博士取得
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1996年(平成8年) くろさき歯科 開院(当院開業)
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日本補綴歯科学会認定「専門医」/日本歯科審美学会会員/日本矯正歯科学会会員
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日本大学歯学部 兼任講師として教育にも従事