入れ歯の飲み込み事故【さいたま市浦和の歯科医師監修】

入れ歯を使用される患者さんの不安材料として、飲み込み事故があります。
事実、残念なことに入れ歯の飲み込み事故で命に関わる事故になった事例は少なくありません。
日常生活の中で起こり得る入れ歯の飲み込みは部分入れ歯に限ったことではなく、過去、総入れ歯でも事故が起こっています。
まさか総入れ歯のような大きさのものを飲み込めるのかと驚かれる方も多いとは思いますが、実際に自宅での食事中に総入れ歯を飲み込んでしまい、不幸にも肺炎を発症し死亡された方もいらっしゃいます。

総入れ歯でさえ飲み込んでしまう事態があるとすれば、部分入れ歯ではもっと起こり得る確率が高いですし、入れ歯だけでなくクラウンやインレーなどの被せ物も、外れた時に飲み込んでしまう確率はもっと高くなります。
鋭利な部分がなく、大きさの小さいものであればそのまま自然排泄される期待が高いですが、形状によっては咽頭や食道の粘膜を傷つけてしまったり、消化管の途中で引っかかってしまったりすることもあるため、非常に危険な状態になります。
取り除くには内視鏡を使って摘出することが第一選択ですが、場合によってはそれも困難なため切開手術となる事態もあります。
いずれにしても早期発見と早期対処が必要となる事態ですし、年齢に関係なく重大な事故になります。

そのような話を聞くと、「入れ歯は怖いものだ」「使用が不安だ」とお考えになる方がいるのもごもっともだと思います。
でも、こうした事例の多くは、第一に入れ歯がしっかり固定されていないことが事故の引き金になっているのです。
普通に生活していても部分入れ歯が勝手に取れてしまったり、総入れ歯が常に口の中で動いてしまったりするような状態では、誤って飲み込んでしまう危険が非常に高くなるのは当然のことなのです。
特に食事中は舌が激しく運動しますから、その動きで下顎の入れ歯が外れてしまうと咀嚼物と一緒になってしまい、大変飲み込みやすい状況が生まれてしまいます。
入れ歯が動いてしまうこと、グラグラすること、勝手に外れてしまうことがどれだけ怖いことか、よくよく考えなければいけません。

入れ歯は、作った時の状態がそのまま永遠に続くものではありません。
作ってすぐにグラつくようではお話になりませんが、3ヶ月から6ヶ月毎の定期的なメンテナンスを行っていれば、こうした怖い事故を予防することにもなるのです。
入れ歯をされているのが高齢者であれば、周りの方々も入れ歯のメンテナンスの必要性は十分ご理解下さい。