土台となる歯茎が健康か?

一生自分の歯で食べることができれば幸せですが、現実にはなかなかそうはいきません。40歳を過ぎたあたりから、虫歯や歯周病で歯は次第に失われていきます。通常、大人の歯は28本(親知らず以外)ですが、70歳になると、自分の歯は平均して15~17本程度しか残らないと言われています。高齢期の入れ歯問題は深刻です。けっして他人ごとではありません。

歯茎が痩せてしまったら

虫歯や歯周病で歯を失ってしまったら、入れ歯を検討しなければなりません。ところが、加齢とともに、歯茎は痩せてしまうため、最初は問題なくても、だんだん入れ歯が合わなくなるという方が多く見られます。

歯茎は10年で約2mm下がるといわれています。歯茎が下がって痩せてしまう原因は加齢だけではありません。かみ合わせや歯周病も、歯茎が痩せる原因となります。特に、歯周病は日本人の約80%が患っていると考えられています。

歯茎が痩せてしまうと、入れ歯がぐらついたり、上手に噛むことができなくなる恐れがあります。このような場合、入れ歯自体を調整して早めに対処することによって作り直す必要がなくなります。ですから、「最近、歯茎が下がってきたな」「少し入れ歯がぐらついてきたな」「ものを食べる時に違和感がある」と感じたら、ぜひ早めにご相談されるようおすすめします。

歯周病を防いで歯茎を健康に保つには

歯周病を防ぐには、歯磨きの習慣を見直すようにおすすめいたします。歯周病の原因はプラーク(歯垢)の中の細菌です。毎日、歯磨きをしっかりしましょう。歯は一本ずつ丁寧に磨いてください。歯ブラシは鉛筆のように持つとよいでしょう。

外側、つまり頬に当たる部分は歯ブラシの先を歯に平行にあてて磨きます。内側、つまり舌にあたる部分は、上から斜め45度にあてて磨きます。すでに歯茎が炎症を起こしていて歯磨きで痛みを感じる場合は、歯の外側も斜め45度に歯ブラシの毛先を傾けて磨いてください。特に、奥歯の外側は磨きにくい場所なので、しっかり歯ブラシの毛先をあてて磨いてください。

生活習慣を見直すことも歯周病予防に役立ちます。喫煙する人は、タバコを吸わない人に比べて歯周病にかかる率が3倍だと言われています。タバコの煙に含まれる有害な物質が歯周病菌に対する抵抗力を弱めてしまいますし、血管が収縮することで、歯茎に酸素や栄養が供給されにくくなるなどの弊害が出ます。タバコをやめて健康な歯茎を目指しましょう。