噛める入れ歯で誤嚥防止

アメリカ元大統領のブッシュ氏が大統領就任中、プレッツェルという焼き菓子を食べている最中に喉につまらせ、一時的に意識不明になったことは有名な話です。50歳を過ぎると、飲み込む力が弱くなっていきます。食べ物を食べた時にむせたり、のどにつまることは誰にでもありますが、あまり頻繁に起こると注意が必要です。

入れ歯の重要性

合わない入れ歯を使っていると、歯茎に痛みを感じたり、グラグラして硬いものがよく噛めないといった問題がおきます。こうした事例は高齢期の入れ歯問題にはつきものです。入れ歯が合わないと、硬いものが食べにくいので、よく噛まずに飲み込んでしまいます。しっかりと咀嚼できていないと、食べ物が誤って気管や肺に入ってしまうことがあります。若い人は、むせるだけですみますが、高齢者になると、むせるだけではすみません。肺に入ると誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。

誤嚥性肺炎とは、食べたものや飲み物が気管から肺に入り、細菌が繁殖してしまうことが原因で発症します。誤嚥性肺炎は65歳以上の高齢者に多くみられます。しかも、60代以降の、入院が必要になる程度の肺炎の約半数は誤嚥性肺炎だといわれています。肺炎は日本人の死因の第三位を占めるので注意が必要です。誤嚥を防ぐために、よく噛んで食べましょう。そのためには、自分に合った入れ歯を使ってください。

嚥下障害とは

嚥下障害とは、食べ物や飲み物が飲み込みにくくなる症状のことです。食事中にむせることが増えた、食後に声が枯れる、食べ物がのどにつかえる感じがするなどの症状があれば、誤嚥性障害の可能性があります。加齢だけが誤嚥障害の原因ではありません。脳梗塞や脳出血などを発症する人にも、誤嚥障害が多く見られます。これは、脳になんらかの異常があると、神経伝達がうまくいかずにのどの筋肉の活動がスムーズにいかなくなるためだと考えられています。

嚥下障害を予防するには、普段の食事習慣が大切です。ゆっくりと噛むこと、正しい姿勢で食べること、少しずつ食べ物を口に入れることが重要です。虫歯や歯周病で歯を失った方は、入れ歯を使って、よく噛むようにしてください。

加齢で歯茎は痩せていくので、入れ歯は定期的にメンテナンスが必要です。定期的に歯科医を受診して、問題を早めに見つけましょう。美味しいものを食べることは、幸福度を上げます。好きなものを食べられるのは幸せなことです。自分に合った入れ歯を使って、ゆっくりと食事を楽しみ、誤嚥を防ぎましょう。