入れ歯 寝るときどうする

寝るときに入れ歯を付けたままにするのか、外すのか、そんな疑問を持たれている方をよく見かけます。
公益社団法人 日本補綴歯科学会では、基本的に寝るときには入れ歯は外すことを前提としています。
ただし、例えば噛み合わせ治療の一環として夜間の着用を必要とするような場合には、担当している歯科医の指示が優先されます。
特に部分入れ歯の場合はそうした指示がある場合もあるでしょう。
ただし、その場合にも食事の後には外して清掃する必要は必ずあります。
入れ歯の清掃は、流水による表面の洗い流し、専用ブラシによる細部の清掃、洗浄剤に浸けることによる洗浄など、丁寧なケアが必要です。
怠ると臭いが出たり、細菌が繁殖して残った歯や歯茎に病気をもたらすなど、新たなリスクの元になってしまいます。
入れ歯は毎日丁寧なケアを行ってこそ、丈夫で長持ちするのです。

ただ、最近では寝るときにも入れ歯を外さないよう指導していらっしゃる歯科医師会もあるようですね。
専門学会でも意見の分かれるところではあります。
入れ歯がある状態が顔貌の維持に良い影響を与えるため、口腔内の状態維持をするために必要と判断される場合もあるようです。
ただし、必ず洗浄剤処理を行うことが前提となっていることに変わりはありません。
そして、本当に患者さんの身体に合っていること、筋肉の状態や粘膜の状態、歯や歯茎に問題が無いことなどが絶対です。
もし患者さん本人が付けて寝ることに不安があったり、息苦しさを感じたりするようであれば、無理をせず担当歯科医師に相談して外して寝るべきでしょう。
また、入れ歯の精度や作りにもよってしまうので何とも言えませんが、もし外れてしまいやすい入れ歯などは、寝ている間の誤飲の危険が高くなりますので、必ず外していただきたいケースです。
くれぐれも、自己判断で行って良いものではありません。

考えさせられるのは、災害時、入れ歯を外して寝ていた方々がその後の生活で非常に苦労をされたというお話しです。
状況が状況ではありますが、歯は生命を支える大事なツールであることもまた事実です。
もちろん大きな災害時などは、近隣の歯科医師会が緊急に対応を計るなど対応策が取られると思いますが、それでもやはりままならない状況でしょうから、それなら装着しておきたいと思われる方がいらっしゃるのは至極当然のことだと思います。
ただ、上記の誤飲問題や、総入れ歯などで歯茎へのあたりが出てしまう問題などを考えると、なかなかに難しいですね。