入れ歯 奥歯を失ってそのままでいると?

歯には寿命があります。
人間にも寿命はありますが、人間は長寿に進化したのでしょうね、厚生労働省の調査によると、歯の寿命は人間の寿命よりも短くなっています。
平均的な寿命は50年から60年なのですが、一番寿命短いのが奥歯です。
一番前の歯に比べるとその差は10年以上ありますから、歯を失う人の多くは、一番最初に奥歯を失うことが多いと言えるでしょう。

どうしてそんなにも奥歯の寿命が短いのかと言うと、やはり自分の体重と同じくらいの加重がかかる奥歯なので、すり減ってしまいやすいということもあるでしょう。
ストレスの多い現代で、無意識のうちに食いしばりをしている人も多いです。
そうした生活の負荷を一身に受け続けてダメージを受けてしまう奥歯ですが、1本失っただけで噛む力の30%から40%もを失ってしまうとも言われていて、とても大事な役割を担っていることがわかります。

たまに耳にするお話で「それは良くないな」と思うのが、奥歯を失った後、そのまま生活している人がいるということです。
確かに奥歯が無くても対外的には見えませんし、いちいち入れ歯を入れるのも面倒と考えてしまう人もいるようですが、上記のように、奥歯はとても大事な役割を担っている存在です。
奥歯と言っても「親知らず」についてはちょっと別なのですが、一番前の歯から奥へ向かって数えて行って7番目にあたる歯までは、咀嚼力にとても大きな影響を与えるので、失ってしまった場合にはしっかり入れ歯でカバーしましょう。
入れ歯にもいろいろな種類があり、高性能なものもありますので、あまり悪いイメージ先行で判断しないで下さいね。

噛む力が全身に与える影響を知ると、歯はものを食べるだけのためにあるのではないのだと痛感すると思います。
当院は入れ歯を作る時に全身を診るのですが、歯の状態が悪いと、その異常は口の中だけでなくあらゆる部位に悪い影響を与えていることがわかります。
人間の身体には余計なものは備わっていないのですから、あるべきものが失われてしまった場合、それを補うものを補強しなければあらゆるバランスが崩れてしまいます。
たかが奥歯1本くらいと思われますか?
その奥歯が、今までご自分が生きて来た中で、影でどれだけの働きをして来てくれたか分かるでしょうか?
歯を失ってショックを受けられるのはわかりますが、それを無かったことにするのは放置ではなく、正しい補強をすることです。
そのために、補綴歯科はあるのですから。